好きなギタリストのエフェクターボードを見て、不思議に思ったことはありませんか?

「あれ? 同じような緑色の箱(チューブスクリーマーなど)が2個入ってる…?」 「予備かな? それとも使い分けてるのかな?」
実はそれ、使い分けではありません。2個同時に踏んでいるのです。
初心者は「歪みは1個で作るもの」と思いがちですが、プロは「2個のペダルを混ぜて」音を作ります。これを「スタッキング(重ねがけ)」と呼びます。 今回は、あなたのペラペラなギターの音を、プロのような「太く、艶のある音」に変える魔法の計算式、「メイン歪み+ブースター」について解説します。
1.なぜ、1個で歪ませると「音が悪い」のか?
初心者がやりがちな設定があります。 「ディストーションのGAIN(歪み量)をMAXにする」です。
確かに激しい音にはなりますが、これには致命的な弱点があります。
- 音が潰れて、何を弾いているか聞こえない
- 「サーーー」というノイズが酷い
- バンドで合わせると、音が埋もれて聞こえなくなる
1つのペダルに100点の仕事をさせようとすると、どうしても無理が生じます。 そこでプロは、「50点の仕事をするペダル」を2つ用意して、合わせて120点の音を作るのです。
2.歪みの重ねがけは「カレー」と同じだ
なぜ2つ混ぜると音が良くなるのか? これは「カレーのルー」で考えると一発で分かります。
ペダル1個(GAIN MAX)
→1種類のルーだけで作ったカレー。味は濃いけれど、深みがない。単調で飽きる味。
ペダル2個(GAIN 半分ずつ)
→「スパイシーなルー」と「甘みのあるルー」をブレンドしたカレー。 複雑でコクがあり、お店のような深みのある味(立体的な音)になる。
ギターの音も同じです。 キャラクターの違う2つの歪みを重ねることで、単体では絶対に出せない「粘り」や「倍音」が生まれるのです。
3.黄金の計算式「メイン歪み + ブースター」
では、具体的にどう繋げばいいのか? 基本のセオリーはこれだけ覚えてください。
好きな音色を作るペダル(ディストーションなど)。 設定: 歪み(GAIN)はいつもより少し控えめに。
メインの歪みを「プッシュ」するためのペダル(オーバードライブなど)。 設定: 歪み(GAIN)はほぼゼロ。音量(LEVEL)を上げる。
手前のペダルが、後ろのペダルに「勢い」をつけて信号を送ることで、音が太くなり、サステイン(音の伸び)が爆発的に伸びます。
この「手前のペダル」の役割を「ブースター」と呼びます。 ラーメンで言うところの「ニンニク増し」のような役割です。
4.今すぐ試せる!おすすめの組み合わせ
「何を買えばいいか分からない」という人のために、絶対に失敗しない王道の組み合わせを紹介します。
- 【メイン】BOSS BD-2 (Blues Driver) ジャキッとした粗い歪みが特徴。ロックな音の土台にします。
- 【ブースター】Ibanez TS9 (Tube Screamer) 中音域に特徴がある緑色の箱。これをBD-2の手前に繋ぐと、キンキンした高音が抑えられ、プロのような「甘くて太いソロの音」になります。
もちろん、手持ちのエフェクターと、リサイクルショップで売っている3,000円の中古オーバードライブ(BOSS SD-1など)でも十分効果はあります。
まとめ:売る前に「足し算」してみよう
「このエフェクター、なんか音が気に入らないな。売ろうかな」 そう思う前に、別のペダルと組み合わせてみてください。
単体では0点だった音が、他のペダルと混ざった瞬間に100点に化けることがよくあります。 1 + 1 = 2 ではなく、10 になる。 これこそが、エフェクター沼の入り口であり、最大の醍醐味なのです。
さあ、押し入れに眠っているあのオーバードライブを、もう一度ボードに戻してあげましょう。



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