
「エフェクターをたくさん繋いだら、音がこもってしまった」
「ワウペダルやファズを買ったけれど、どこに繋げばいいか分からない」
ギターの音作りにおいて、エフェクターの「接続順(ルーティング)」は、機材選びと同じくらい重要な要素です。どんなに高価なエフェクターを揃えても、繋ぐ順番を間違えると本来の性能を発揮できず、ノイズや音痩せの原因になってしまいます。
この記事では、中古エフェクター専門店として数多くのペダルボード構築に携わってきた私たちが、「失敗しない接続順のセオリー」と、「あえてセオリーを崩すプロのテクニック」について、初心者の方にも分かりやすく解説します。
1.なぜ「順番」が重要なのか?(音の劣化と濁り)
エフェクターの接続順を考える際、最も重要なのは「後段(アンプ側)のエフェクターほど、最終的な出音への影響力が大きい」という法則です。
例えば、「歪み(ディストーション)」と「空間系(リバーブ)」の関係を、「料理」に例えて考えてみましょう。
・正しい順番:[焼く(歪み)] → [ソースをかける(空間系)] お肉を焼いてから、仕上げにソースをかける。→ 美味しく仕上がる(音が綺麗に響く)。
・間違った順番:[ソースをかける(空間系)] → [焼く(歪み)] ソースをかけたお肉を焼いてしまう。→ ソースが焦げて味が濁る(残響音が歪んでグチャグチャになる)。
このように、基本的には「音を加工するもの」を先に、「響きを加えるもの」を後に配置するのが、クリアなサウンドを作るための鉄則です。
2.【図解】絶対に失敗しない「基本の接続順」
では、具体的な接続フローを見ていきましょう。 ジャンルを問わず、プロ・アマの9割が採用している「基本の型」がこちらです。
それぞれの役割と、なぜその位置なのかを詳しく解説します。
① 先頭:音の「素材」を整える(フィルター/ダイナミクス)
ワウペダルやコンプレッサーは、ギターの原音そのものを変化させるエフェクターです。 これらを歪みの後ろに繋ぐと、ノイズが過激に増幅されたり、コンプレッサーの効果が不自然にかかったりするため、「一番ギターに近い場所」に置くのが基本です。
② 中盤:音の「キャラクター」を決める(歪み)
オーバードライブなどの歪み系は、サウンドの核となります。 もし複数の歪みペダルを使う場合(例:メインの歪み+ブースター)は、「ゲイン(歪み量)が低いものを前、高いものを後ろ」に繋ぐのが一般的です。
③ 後半:音に「装飾」を加える(モジュレーション/空間系)
コーラスやディレイは、出来上がった音に対して「揺れ」や「広がり」を加える仕上げの工程です。 歪みの後に配置することで、クリアで立体的なサウンドが得られます。
3.初心者が陥りやすい「2つの落とし穴」
基本のセオリー通りに繋いでも「うまくいかない」「音が悪い」という場合、以下の特殊なケースに当てはまっている可能性があります。
①ヴィンテージ・ファズの接続位置
「ファズ」を使う場合は、最優先で「先頭」へ!
Fuzz Faceなどのヴィンテージ回路を持つファズは、「ハイインピーダンス」といって、ギターから直接信号を受け取ることを前提に設計されています。 間にワウやチューナーが入るだけで、音が極端に細くなったり、反応が悪くなったりします。ファズを使う時だけは、セオリーを無視して一番最初に繋いでください。
②空間系を歪みの前に置く「シューゲイザー」
意図的に「空間系 → 歪み」の順に繋ぐケースもあります。 これは「マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン」などに代表されるシューゲイザーというジャンルで多用される手法です。 残響音ごと激しく歪ませることで、「ジェット機のエンジン音」のような轟音ノイズを作り出せます。クリアな音ではありませんが、個性的なサウンドを求めるなら正解となります。
4.ノイズや音痩せを防ぐためのチェックリスト
接続順以外にも、良い音を作るために確認すべきポイントがあります。
- パッチケーブルの品質 安価すぎるケーブルは音痩せの原因になります。
- 電源(パワーサプライ)の容量 デジタルエフェクターとアナログエフェクターを同じ電源から取ると、デジタルノイズが乗ることがあります。可能な限り、電源を分けるか、アイソレートされたパワーサプライを使用しましょう。
- バッファの活用 エフェクターをたくさん繋ぐ(5個以上など)場合は、先頭に「バッファ」機能を持つペダル(BOSS製品など)を置くことで、信号の劣化を防げます
まとめ:基本を知った上で、自分の「正解」を見つけよう
エフェクターの接続順に「絶対の正解」はありませんが、「間違い(音が悪くなる原因)」は存在します。 まずは今回ご紹介した「基本のセオリー」通りに組んでみて、ノイズのないクリアな音を作ってみてください。
その上で、あえて順番を入れ替えて実験してみるのもエフェクターの醍醐味です。接続順やノイズにお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。



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