「ビッグマフの音は好きだけど、デカすぎて邪魔なんだよな……」
ギタリストなら一度は、楽器屋で銀色の巨大な鉄の箱(オリジナル・ビッグマフ)を見て、ため息をついたことがあるはずです。 そんな私たちの悩みを解決するために生まれたのが、Electro-Harmonix Nano Big Muff Piです。

「小さくなったら、音もショボくなったんじゃない?」 「中身のパーツが違うんでしょ?」
ご安心ください。 こいつは、見た目こそ可愛くなりましたが、中身はあの凶暴な「轟音(ごうおん)」のままです。 今回は、現代のエフェクターボードに必須の「小さな巨人」、Nano Big Muff Piの実力と、バンドで埋もれないための「秘密のセッティング」を解説します。
1.「弁当箱」からの卒業。ボードの隙間に入る喜び
オリジナルのビッグマフは、その巨大さから「弁当箱」という愛称(蔑称?)で呼ばれています。 ボードのスペースを3個分くらい占領するため、導入には覚悟が必要でした。
しかし、このNanoシリーズは一般的なコンパクトエフェクターと同じサイズです。 これなら、歪みゾーンの隙間にスッと入ります。
電源も「一般的な9Vアダプター」でOK!
オリジナル版の一部は専用アダプターや変換プラグが必要でしたが、Nanoは普通のパワーサプライで動きます。 この「普通に使える」ということが、どれだけありがたいか……。機材トラブルの多い現場では、この安心感が最強の武器になります。
2.音は「現行NYCマフ」そのもの
肝心のサウンドですが、現行の大きなビッグマフ(NYCパイ)と回路はほぼ同じです。
壁のような轟音: コードを一発弾くだけで、空間を埋め尽くすような厚みのある歪み。
クリーミーなサステイン: 単音を弾けば、ヴァイオリンのようにどこまでも音が伸びていく。
ドンシャリ傾向: 低音と高音が強調され、中音域が削れたモダンなサウンド。
目隠しして弾き比べても、どちらがNanoか当てられる人は少ないでしょう。 それくらい、ちゃんと「マフの音」がします。 シューゲイザーのようなノイズの壁を作りたい人や、グランジのような重厚なリフを弾きたい人には、これ一台で完結します。
3.弱点克服!「TS系」と組み合わせて最強になる
実は、ビッグマフには「バンドで合わせると音が聞こえなくなる」という致命的な弱点があります。 これは、マフ特有の「中音域(ミッド)が削れる」特性のせいです。
そこで、プロが必ずやる対策があります。 「前段にTS系オーバードライブ(Ibanez TS9など)を置く」のです。
ギター → [TS9] → [Nano Big Muff] → アンプ の順に繋ぐ。
TS9の設定は、歪みゼロ・音量マックス(ブースター設定)。
両方オンにすると、マフの削れた中音域がTS9で補完され、バンドでも「抜ける」最強のリードサウンドが完成!
「Nano Big Muff」を買うなら、安い中古の「TS9」か「SD-1」も一緒に買ってください。 この2つを組み合わせた音は、まさに「ピンク・フロイド」のような極上のトーンです。
4.中古市場での「Nano」の立ち位置
私たち中古ショップの視点で見ると、Nano Big Muffは「最も回転が早いファズ」の一つです。 「とりあえずファズを試してみたい」という初心者が買い、上級者がサブボード用に買う。需要が尽きません。
中古なら5,000円〜7,000円前後で手に入ります。
この価格で、歴史的なファズサウンドが手に入るのは破格です。 もし「ヴィンテージの音が欲しい!」と思って高いものを買っても、扱いにくくて手放す人が多い中、Nanoは「使いやすいから手元に残る」ペダルです。
まとめ:小さくても、魂はデカい
「デカい方が音が良い」という都市伝説は、もう忘れましょう。 Nano Big Muff Piは、サイズ、音、価格、使いやすさ、全てにおいてバランスが取れた**「現代の最適解」**です。
ボードの隅っこに、この白い文字のペダルを置いてみてください。 スイッチを踏んだ瞬間、あなたの足元から「轟音の壁」が立ち上がります。




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